映画のあとにも人生はつづく

最近見て心に残った映画について書いています

リトルプリンス   星の王子さまと私

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童話「星の王子さま」に登場する飛行士がまだ生きていた!という設定のファンタジー。教育ママのもと、これからの人生の予定をすべて決められ、素直に与えられた宿題を粛々とこなしていた女の子。引っ越し先のおとなりさんが一風変わったおじいさんだったことから、次第にその予定が狂ってゆく。

 

実はおじいさんは昔、飛行機乗りだった。ある時砂漠に不時着し、小さな王子さまに出会うという不思議な体験をした。その物語を誰かに伝えようとするが誰にも信じてもらえない。映画は、おじいさんと女の子の交流と、星の王子さまの物語が交互に語られる。おじいさんは王子さまに再び会うために、おんぼろ飛行機の修復を続けていた。夏休みの最後の日、おじいさんは病気で倒れ、救急車で運ばれてしまう。女の子は星の王子さまに会いに修復が終わった飛行機に乗り込むのだが…。

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監督は、「カンフー・パンダ」のマーク・オズボーン。「ハートで何が見えるか」というのが究極のテーマだという。それは原作のテーマそのものだ。原作はサン=テグジュペリの「星の王子さま」。王子さまが飛行機乗りに言う。

 

「砂漠が美しいのは、どこかに井戸をかくしているからだよ」

 

「とつぜん、ぼくは、砂がそんなふうに、ふしぎに光るわけがわかっておどろきました。」

 

その時、語り手である飛行機乗りは思い出す。子供だった頃に住んでいた古い家には、「何か宝が埋められているという」言い伝えがあったことを。

 

「だれもまだ、その宝を発見したこともありませんし、それをさがそうとした人もないようです。でも、家じゅうが、その宝で、美しい魔法にかかっているようでした。ぼくの家は、そのおくに、一つの秘密をかくしていたのです……」

 

「心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは目に見えないんだよ。」

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こうした物語の場合、子どもの無垢な心を美化しがちであるが、子どもの無垢な心はそのまま社会に出現すると大きな軋轢を生む。年老いた飛行士が、うまく世間となじめないのはそのためなのだ。だがそれを大人の世界が悪いと言ってみても本当は始まらない。子どもはある部分大人であり、大人はある部分子供であるのだから。

 

女の子は果たして星の王子さまに会うことができるのか?それは見てのお楽しみ。映画を見終わった大人は、女の子と同じように冒険に出かけなければならない。自分の中の、自分でない何かを見つけるという大冒険に。そして祈らずにはいられない。自分の中にも、目に見えない美しいものがあることを。

 

監督/製作総指揮:マーク・オズボーン

原題「THE LITTLE PRINCE」

フランス映画 2015 / 107

公式サイト

http://wwws.warnerbros.co.jp/littleprince/