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映画のあとにも人生はつづく

最近見て心に残った映画について書いています

ニューヨーク 眺めのいい部屋売ります

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ニューヨークのブルックリン。5階建てのアパートの最上階に住む老夫婦。エレベーターがなく階段の上り下りがきつい年齢だ。夫婦は引っ越すために部屋を売ることにした。この部屋に住んで40年。思い出がいたるところにしみついているに違いない。何より眺めが素晴らしい。画家の夫がアトリエに使っている部屋からは、イーストリバーにかかる橋と対岸のマンハッタンが望める。果たしてそんな住居を手放すことができるのか?

 

物語は、不動産エージェントをしている姪の、商業主義的なペースに巻き込まれる形で進む。しかし老夫婦は次第に、自分たちは自分たちのペースで物事を進めるべきだと気づいてゆく。夫婦はモーガン・フリーマンダイアン・キートン。妻が言う。

 

「私たち、自由に生きてきた。黒人と白人の結婚がまだ30州で禁止されていた頃に結婚したわ。アパートを探すくらい何でもない。」                 

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折しもアパートの近くでテロリストが潜伏しているというニュースが流れ…。

 

監督はリチャード・ロンクレイン。 

「自分の人生の終わりが必ずしも下り坂でないと確信できるという事実を描いた物語です。この映画は、何か破滅的なことが起きたり、大きな失敗などしたりするわけではなく、すっかり落ち着いている夫婦が、ある週末のできごとをきっかけにまた活気を取り戻し、人生の新しい旅立を見つける物語です。」

 

驚くのはアパートの値段が100万ドルということだ。これが平均だというのだからさすがニューヨークである。夫婦が暮らすブルックリン界隈は、昔はアーティスト以外だれも住みたがらないところだったという。だが、40年の間に町も変わる。

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人は自分が手にしている物の価値になかなか気づかないものらしい。アパートが他人の目にさらされ、自分でも同じようなものを探して、すったもんだの末にようやく気づく。それは実は目に見える価値ではない。40年という時間の積み重ねで得た、生きる姿勢のようなものだと思う。

 

自分は年を取った時、時代の流れだという雰囲気に流されず、自らの姿勢を保てるか。それって若い人から見れば頑固老人と言うことになるのだろうけれど。

 

監督:リチャード・ロンクレイン

原作:ジル・シメント「眺めのいい部屋売ります」(小学館文庫)

主演:モーガン・フリーマンダイアン・キートン

原題「5 flights up」

アメリカ映画 2014 / 92

公式サイト

http://www.nagamenoiiheya.net/