映画のあとにも人生はつづく

最近見て心に残った映画について書いています

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

イレブン・ミニッツ

不思議な映画である。何が不思議かと言えば、人の数だけあるような人生の喜怒哀楽が、この映画はすべて「無」だと語っているのだ。つまり、人生は空に現れた小さな黒いシミのようなものにすぎない、と。 午後5時。映画監督の宿泊するホテルの一室に招かれた…

太陽のめざめ

フランスの青少年裁判所。6歳の子どもと、生まれたばかりの赤ちゃんを連れた母親が、判事に責められている。学校に行かせていないというのが理由のようだ。逆上した母親は、「子どもなんてウンザリ マロニーも荷物もいらない!」と荷物を叩きつけて出て行っ…

いしぶみ

暗闇の中、綾瀬はるかの朗読が静かに始まる。背後に古びた金属のような壁がある。その壁には中学生になったばかりの子どもたちの姿がぼんやりと映し出される。広島二中一年生たちである。昭和20年8月6日、生徒たちは建物解体作業のため朝早く本川の土手に集…