映画のあとにも人生はつづく

最近見て心に残った映画について書いています

2023-01-01から1年間の記事一覧

怪物

湖の畔の小さな町。ある夜、雑居ビルで火災が起こった。サイレンが鳴り響き、燃え上がる炎とそれを消化しようとする消防士。マンションのベランダでそれを見物する母親と子どもがいる。シングルマザーの早織(安藤サクラ)と小学校5年の湊(黒川想矢)だ。 …

生きる LIVING

黒澤明監督の「生きる」をリメイクしたイギリス映画。脚本はノーベル賞作家のカズオ・イシグロである。 1950年代ロンドン。資料映像のようなざらついた画面で始まる。ある一人の若者が、汽車を待つ駅で、これから働く市役所の先輩たちに挨拶している。そのあ…

ちひろさん

ちひろさんはとある港町のお弁当屋さん。と言ってもアルバイトで店先に立っている売り子さんだ。元風俗嬢と言うことだが別に隠すわけでもなく、ちひろさん目当ての男性客も多い。 公園で猫と遊んだり、子どもとじゃれ合ったり。ホームレスのおじさんと知り合…

すべてうまくいきますように

作家のエマニュエルは、執筆中の自宅で電話を受けると急いで部屋を飛び出す。あわててコンタクトレンズを忘れ、取りに帰るほど我を忘れている。向かったのは病院。父親が脳卒中で倒れ、運ばれたのだ。しかし父親は元気そうで、不自由はあるが命に別状はなさ…

エンドロールのつづき

インドの西、グジャラート州の田舎町。線路沿いにすむサマイ(9歳)は、駅の小さなチャイ屋台で父親を手伝っている。列車が到着すると客にチャイを売るのだ。めったに列車の来ない線路は子どもたちの遊び場だ。打ち捨てられた様々なものを使って、時に列車に…

そばかす

4人で盛り上がっているように見える合コンだが、女性のひとりはつまらなさそう。男性が気を使って話を振ってもなかなか入り込めない。その女性は蘇畑佳純(そばたかすみ・三浦透子)。映画が好きだというので、男は二人で見に行こうと誘うが、佳純は戸惑うよ…

ケイコ目を澄ませて

東京の下町。小さな部屋でちゃぶ台を前に座り、若い女性が何かノートに書きつけている。その鉛筆の音だけが静かな部屋に響く。ただケイコにその音は聞こえない。ケイコは生まれつきの感応性難聴で両耳とも聞こえないのだ。 ケイコ(岸井ゆきの)は近くの古ぼ…